網羅性。とても美しい言葉だ。
ヌケモレがなく遍く整ってスキがない。
網羅的に情報を集めれば判断材料に不足することなく、
網羅的に検討された結果による意思決定は失敗のリスクが限りなく低い。
だから、みんな網羅性という言葉が大好きだ。
だがしかし。
本当に網羅することができるのか。
本当に網羅することが必要なのか。
移ろいゆく時間の中で完璧に網羅した情報など集められるのか。
特定時間における、と条件づけをしたところで、
意志決定を下すまでに許された期間の中で、情報を網羅することができるだろうか。
網羅するために費やしたパワーで得た情報は、意志決定を下すために重要な情報だろうか。
ものすごいスピードで情報を分析し、
ものすごいスピードで課題を抽出し、
ものすごいスピードで解決策を導出していく、
「コンサルタント」と呼ばれる人たちがいる。
彼らは、必要以上の網羅性について「No」を突き付ける。
彼らは、「仮説思考」なるアプローチを元に、先にアタリをつける(仮説)を立てて、
その仮説の成否を検証するのに必要な情報だけを集め、
その仮説の成否を検証するのに必要な範囲での網羅性を担保することで、
その圧倒的なスピードを生み出している。
仮説が間違っていれば当然振り出しに戻るわけだが、
それでも全部集めてから答えを探すよりは早い。
全網羅とは、IndexもOptimizerも実装されていないRDBMSのようなものだ。
こうしたことを踏まえた上で、「網羅性」という言葉の美しさを武器にしよう。
1.網羅性の範囲を自ら定義しよう。
どういう範囲で網羅性を検討したのかの定義は、突っ込まれる前に先に提示しよう。
マトリクスと、そのマトリクスにおける軸をはっきり明示すれば、たいていことは収まる。
2.もし、気にくわないヤツが箇条書き資料を出してきたら、こう言ってやろう。
「網羅的に洗い出せてますか?どうやって網羅性を担保してますか?ただの思いつきのですか?」( ̄ー ̄)ニヤリ
※この質問に簡単に妥当性のある答えで切り返してくる相手だったら、諦めて素直に服従しましょう。今のスキルでかなう相手ではないですから。
むしろそんな相手からはいろんな技を吸収しましょう。