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なからなLife

geekに憧れと敬意を抱きながら、SE、ITコンサル、商品企画、事業企画、管理会計、総務・情シス、再び受託でDB屋さんと流浪する人のブログです。

トンチンカンのお話


トンチンカンの語源は、

「鍛冶(かじ)屋の相槌(あいづち)の音から来た語。いつも交互に打たれてかみ合わないことから。漢字(頓珍漢)は当て字。」

というのが一般的なようですね。


じつは、山本七平の「指導力−宋名臣言行録の読み方」では、

「中国の宋の時代の官僚の章惇と陳灌(正確にはカンの字は王ヘン)のやり取りがあまりにかみ合っていなかったことから」

という説が出ています。つまり漢字も違う。


どっちがどこまで正しいのか、よくわかりません。
ネット上には前者の話しか出てきませんし、後者は漢字変換すらできない勢いなので非常にめんどくさいのですが、
後者の方が話として面白いので、こっちを話題として取り上げてみたいと思います。


この2人、何を話していてかみ合っていなかったのか、というところが重要なのですが、時代背景の理解が必要です。


北宋王朝時代の中国というのは、科挙と呼ばれる官僚採用試験制度が確立して強固な文治主義国家体制か構築され、非常に多くの優秀な宰相、参政その他の官吏が生まれるのですが、その後期になると、財政に関する諸問題をめぐって大きく2派閥に分かれてやり合う時代です。
具体的には王安石の新法に代表される新法派(革新派)と、資治通鑑を編纂した司馬光に代表される旧法派(守旧派)の闘争と言われています。
しかし、その悪弊として、「出世の為なら人をも殺さん」といわんばかりに、ライバルを貶めたり、形勢をみて派閥鞍替えをしたり、という面も出てきます。
もうgdgdそのもの。


ひらたくいえば、右派と左派の二大政党制が行きつくところまで行ってしまった末期症状、と言ったところでしょうか。
どっかの国の政治もそうならなければ良いと思いますが。
お隣の国は千年も前にこんなことやってるわけですから。


そんな時代に、こんな会話がなされたというのです。


陳灌「今のような、革新と守旧の揺り戻し合戦は、船の上の石ころを右から左に置きなおすのと大差なくね。船(国)は傾くけど進歩がねーよ。
とにかくバランスとれた制度と無駄な争い止める手当て(中道路線)をしないと、ないと船(国)が沈むー」
章惇「抵抗勢力(守旧派)はみんな切り捨てねーと気がすまねー。むかつくんじゃボケー。」
陳灌「だからー、そう言いあってる間は(ry」


はい。かみ合ってません。これで話はつながりました。



で、鍛冶屋の話より面白いのは、そこに鍛冶屋の話以上の教訓が含まれているから。


守旧派と革新派の揺り戻し合いって、会社組織とかでもありがちだよね。
数年ローテーションで親会社から社長が下ってきて、前の人と逆のことやりたがる。
コンサルが入ると、とりあえず今と違うことやらせたがる。失敗して違うところ雇い直すと、また逆のことやらせたがる。


1.「それ昔やって失敗したよ」
2.「やり方がまずかったんだ」
3.1に戻る。


現場は右に傾こうが左に傾こうが、とにかく終始バタバタしてるだけ。かじ取りには参加できず、船の上でゆられて吐き気をもよおしている。


制度不良を起こしているのだが、どうしてもそこは手をつけられないで、表面的な対策ばかりが先行する。
組織の疲弊が売上減に結びついているが、売上しか着目されず、営業と製品の強化、目先のコストカットの話ばかりで、構造改革が後回しになる。


はい、書いていて暗くなりますが、よくある話じゃないでしょうか。
千年前から同じ問題に格闘してきた歴史を紐とき、同じ轍を踏まないようにしたいではありませんか。




というわけで、中国の歴史に学ぶ以下2冊、お勧めです。という強引なまとめ。


指導力―「宋名臣言行録」の読み方 (日経ビジネス人文庫)

指導力―「宋名臣言行録」の読み方 (日経ビジネス人文庫)

帝王学―「貞観政要」の読み方 (日経ビジネス人文庫)

帝王学―「貞観政要」の読み方 (日経ビジネス人文庫)