なからなLife

geekに憧れと敬意を抱きながら、SE、ITコンサル、商品企画、事業企画、管理会計、総務・情シス、再び受託でDB屋さんと流浪する人のブログです。

「そもそも論」が価値を認められるとき

それは、あえて前提に踏み込まなければいけないとき。*1
前提に踏み込まなければいけないほど、問題の根が深い時。
そして、それを本格的に解決しましょうというコンセンサスの元に活動しているとき。


具体的なビジネスシーンでは、「業務改善」レベルではなく、「業務改革」に踏み込むとき。
コンサルの好きな言葉だと「BPR」なんてやつ。


こういうプロジェクトの中では、「そもそも論」を大いに語るべき。
それまでのしがらみを絶ち切って「そもそもどうあるべきか(To-Be)」を突き詰めて考えていく。
ゼロベース思考が出来る人は、こういうときに強みを発揮する。


「改善」と「改革」の使い分け

ちょっと寄り道して、この2つの言葉の定義を。


業務効率化の観点で言うと、
「改革」は従来の延長上では到達できないようなレベルの効率化。
イノベーションとか、パラダイムシフトとか、そんな言葉で表現される。
「えっ」「マジっ」「やられた」「この仕事にどっぷり漬かってたオレには考えつかないわー」
(2年前から知ってたわー、知ってたけど言えなかったわー、やろうとしたけどできなかったわー、ってのもある。)
なんて声が聞こえてくるような前提破り。


効果が高い分、それを考え出すのに生み出すパワーと、それを実現させるためのパワーは相当なもの。


コンサルがこれをうまいことやるもんだから、お偉いさん方はホイホイと大枚はたいてしまうんですね。




「改善」は従来の延長上にありながら工夫を凝らして対応できるレベルの効率化。
「改革」に比べれば、効率化される量は小さいが、これはこれで価値がある。
とにかく、手軽に出来ること。考えつくのも、実現させるのも、ハードルが低い。
そして、チリツモで、それなりの効果を出す。


「改善」と「改革」の違いは、そんな感じです。


「そもそも論」を置き去りにした場合の悪い側面について

一方で、小さな改善の積み重ねは、悪い習慣を引きずったままであることは確かで、悪いなりに対応してしまうことで問題を複雑にしてしまうこともあります。


実際、あまりにも悪習に適応しすぎて、あるべき論から新業務手順を再構築しても、期待したほど差がでない、なんてのも経験済です。
工数足りなくて、システムが機能不足→手元でExcelやAccessでちょっとしたサブシステム乱立→サブシステム間のデータ連携(コピペ)を効率化するマクロ乱立→でも速いっ!ワンクリックで終了っ!みたいなの。


前のエントリへのコメント(id等ないのでどなたかわかりませんが)

そもそも論がお嫌いのようですが、「暫定対処」の積み重ねで意味のないルールが出来あがったり継ぎ接ぎだらけのデスマが生まれるわけで
「根本対処」と「暫定対処」はセットで語られるべきなのです。

は、まさにそんなケースの話へのご指摘なのだろうと。


「巧遅は拙速に如(し)かず」という諺があます。
根本対処まで含めたものが「巧」であり、暫定対処は「拙」と置き換えられるかと思います。


出典は「孫子」らしいですが((出典が「孫子」だから正しいってわけじゃないのは承知の上で))、古くから尊ばれて、現代においても色々なところで目にする/耳にする言葉であり、ビジネスシーンでも当てはまることが非常に多いです。


したがって、大抵の場合、暫定対処でいいからいち早く対処する、ということが求められています。
それに対応しないと、「価値が低い」とみなされてしまうわけです。
求められている時間の中で、根本対処まできっちりできるのであれば、それは素晴らしいことです。*2


ただし、
「「暫定対処」の積み重ねで意味のないルールが出来あがったり継ぎ接ぎだらけのデスマが生まれる」
と指摘されているとおり、暫定対処のあと、根本対処の時間を確保できないまま、次の問題に直面してその問題への「暫定対処」を繰り返してしまいがちです。


こういうのが積み重なって、とあるタイミングで「どーにもならん」ってことで、「改革」に入るわけです。




こういう経験が積み重なっていくと、

そもそも論に立ち返る必要があるのは、あきらかな混沌状態を紐とく時だけ。そもそも論はそもそも乱用するべきもんじゃないんだ。そもそも。

http://b.hatena.ne.jp/iad_otomamay/20110705#bookmark-49556442:TITLE


という境地に入ってくるのではないでしょうか。

「そもそも論」を本格的に議論するにあたって気をつけるべきたった1つのこと

なんていう釣りタイトルで1本エントリ書いてもいいくらいかもね。


それは、
「〜すべきだった」という過去思考ではなく、現状と将来の展開を見据えてこれから「〜すべき」
という議論をすること。



過去思考では、犯人探しになるか、現状に適さない解決策に至ることしばしば。


「あのとき誰々が動いてくれなかったから」とか言って、目の前の何かが解決するわけじゃないし。
責任の所在をはっきりさせたがる人もいますが、「ならオレが悪いことにしておいてくれていいので、どうしたらよくなるかアイディアちょうだい」って言っちゃうこともある。


「あのときそもそもこうしておけば」っていくら考えても、当時では一切予兆もなかったような事情も現在には起こっていて、やっぱり何かしら問題は発生していたであろうと。
なので、当時も、今も、その時点の現状と近未来くらいまでしか織り込めないと割りきってしまう。


そんなところなんじゃないでしょうかね。

*1:踏み込むべきでないタイミングで踏み込んだ時に価値が低いって話は、前のエントリ[http://d.hatena.ne.jp/atsuizo/20110704/1309739492:title]で言った通り。

*2:その時間確保の同意を取るスキルって重要だよね、って話は本論から外れるので省略