Web上でサービスを提供しているシステムがあった。
1人顧客が付くと、サービスの提供開始から終了までの運用負荷が高く、
コストがエラく高くついていた。
事業部長は語る。
「事業を拡大しようと思っているが、このまま顧客数を増やしても運用が立ち行かない。
どーしていいのかわからんのだ。」
現場ヒアリングすれば、誰からも同じ言葉が聞こえてくる。
「このシステム、使いにくい」
「機能が足りてないから、ムダな作業が多い」
「ムダな作業に振り回されているから、現場レベルでのカイゼンとか、やってる余裕がない」
コンサルが現場に入る。
システム仕様を調べる。
運用フローを視覚化する。
ムダを見つけて、解消方法を考える。
解消した場合、どれだけの効果があるかを「数字」にする。
「ここをこのように機能追加したら、運用コストがコレだけ下がります。」
これを積み重ねてゆく。
そして提案。
「トータルxxx万の投資に対し、削減効果は年xxx万で、x年で回収できます。」
事業部長が喜ぶ。
「コスト下がるし、事業拡大する余力ができる。よし、やろう。」
現場の担当者が喜ぶ。
「システムが使いやすくなって、ムダな作業が減る。よし、やろう。」
コンサルが喜ぶ
「みんながシアワセになるシステム改善計画が立案できた。クライアントに貢献できるってスバラシイ。」
システムが出来上がる。
が、顧客数が思うように伸びない。
事業部長は考える。
「運用負荷は下がった。顧客はそれほど増えてない。・・・・こんなにたくさんの人、いらなくね?」
え?えぇーっ?
どーん。リストラの嵐orz。
もともと業務が回っていないがゆえにシゴトがあった派遣・契約社員から切っていく。
それでも足りないと、正社員にも手をかける。
みんな、システムをよりよいものにする為に、
計画立案やシステム構築に協力してくれた人たちだ。
スーツのシゴトは、こんなユウウツなシナリオとも隣り合わせだ。
それでもスーツは必要なんだ。
ハッピーシナリオを実現する為にも、やはり同じシステム改善計画が必要だったんだ。
投資対効果分析におけるワーストケースが現実化してしまったとき、
どうなるのか、どういう手が打てるのか、そこまで詰めきれていなかった。
詰め切れていれば、結末は変わっていたのだろうか。
悩みながら、今日もスーツはパワポを書き続ける。
よりよい結末を迎えるシナリオが、1つでも多く生まれるようにと。