電話回線と電話機は、内線1人1台の常識を疑ってかかる - 中小事業所のオフィスインフラを考える
もしかしたら、自宅には固定電話を引いていない人が、オフィスの電話のお守りをするような時代に来ているかもしれない。
それくらい古くから、当たり前のようにあると思われている「電話」について。
10人以下のスタートアップで、電話の取次がほとんど必要がないなら、携帯で十分!ってノリで仕事ができると思いますが、相変わらず古い文化引きずってるところと取引する際には「代表電話番号/固定電話の番号を書いて」って話も出てくるので、最低1本持つことになるかと思います。
複合機につなぎこんでFAX利用することもあるでしょうし。
で、いざ必要になったら、という際のお話です。
電話回線といえば
最初はNTTです。とにかくNTTです。
あれこれ考えたくなければ、ちょっと安くなるからといって他社を選ぶのは避けておきましょう。
ちなみに、NTT意外の電話サービスの場合、年数縛りで初期費用分割させつつやや安い程度の通話料を提供するモデルや、コールセンターのような環境や、多数拠点展開している環境などでメリットが出るような特徴を出したサービス設計になっていることも多く、まず基本の知識・ノウハウが溜まっていない段階でこれらのサービスに手を出そうにも、検討のための土台すらない状況です。
また、着信側課金通話、いわゆる「フリーダイヤル」なども、電話回線によって扱いが変わってきます。
そもそもフリーダイヤルってNTTじゃなくNTTコミュニケーションズのサービスです、他社も似たようなサービス出してますって話もあり、なおさらややこしくなります。www.ntt.com
そうやって細かなところであれこれ変わってきますので、最初は素直にNTTをおすすめします。
「0ABJ」?「050」?
いわゆる一般的な電話番号で、東京であれば03から始まる電話番号です。
一方050は、IP電話用に割り当てられている番号です。
ただし、逆必ずしも真ならずじゃありませんが、IP電話だからといって必ず050になるわけではありません。IP電話だけど、「0ABJ」というケースは普通にあります。
電話番号が「0ABJ」にこだわりがある場合は特に「ひかり電話」が有力候補になります。
逆に050でも良い場合、別の選択肢があります。
が、この辺に時間を掛けたくない場合、余計なことを考えずに、NTT一般回線でアナログ/ISDNか、フレッツ光+ひかり電話、このどちらかにしておくのが無難です。
「ひかり電話」とは
インターネット回線としてNTTフレッツ光の回線を引くのであれば、「ひかり電話」が最初の候補にあがります。
詳細は、NTTのサイト参照です。www.ntt-east.co.jp
フレッツ光にくっつける形で利用できるIP電話で、0ABJ番号が利用でき、かつIP電話なので通話料金が距離比例ではない一律型のサービスです。
NTT東日本もNTT西日本も、同じ名前、おなじ条件で展開されています。
IP電話なので通常回線より低価格ですが、音質は気になりません。
小規模事業で、あえて一般電話のままにしておく意味はあまりないです。
同時通話数(チャネル)+電話番号数に応じて、ひかり電話、ひかり電話オフィスタイプ、ひかり電話オフィスA(エース)と3段階ありますが、一人事業じゃないなら「オフィスタイプ」あたりから必要になるかと思います。
なお、ひかり電話は専用の電話番号帯があり、一般回線からの移行と、最初からひかり電話で契約する場合とで、取得できる番号が異なります。
例えば、東京だと03−6xxx-xxxxが、最初からひかり電話で契約した番号です。
新たにひかり電話を使い始めるけど、番号は一般と同じがよい場合、手数料を3,000円ちょっと払うと、数日余計にかかりますが一般回線用番号を取得した上でひかり電話に乗せかえる手続きをしてくれますので、NTTさんとよく相談してください。
できれば、116ではなく、法人部門の担当者をつけて頂いて、対面で相談に乗ってもらえるコネクションを作っておくと、変化の激しいベンチャーなどでは結構発生する構成変更(回線増、番号増)などの際にも相談しやすいです。
ビジネスフォン
大きな会社であれば、ビジネスフォンシステムで、1人1台内線端末がデスクにおいてあって、さらにはダイヤルインまで1人1番号ついていたりしますが、それを常識と思わずに、考えましょう。
ここは、労力を掛けて考えると、それなりにコストメリットが出せる部分です。
「めんどくさいから常識的なビジネスフォンで」と思っても、ワリと考えることが多く費用もかかります。
家庭用電話で済ませてしまう
同時通話と番号、それらのオフィス内での取り次ぎ運用次第では、家庭用電話で十分対応できてしまいます。
家電量販店やネット通販で入手できる「コードレス子機3台使えるタイプ」を複数セット用意しておけば、50人1フロアレベルのオフィスは「子機間転送」と「バトンパス」フォローしきれますので、数十万かけてビジネスフォンシステムを入れなくても、なんとかなるものです。
Pioneer デジタルコードレス電話機 子機3台付き 1.9GHz DECT準拠方式 TF-SA70T-N
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1フロアなら、内勤者同士の内線通話なんてしませんから、外線をどう取り次ぐか、または、会社の電話でどれくらい発信業務が発生するかで変わってきます。
本当に1人1台子機が必要か、何人に1台程度で必要か、電話はどれくらいの頻度で使うのか。
ここはじっくり考えたほうが良いです。
代表1回線1台、原則社員から携帯で折り返しにして、その携帯ないし通話料を会社負担にしたほうが安くて利便性が高い、というケースもあります。
携帯電話だって、法人取引にすれば、世の中にあふれている広告で知る金額とはまったく別の価格帯で調達できますから、会社の電話=ビジネスフォンっていう固定観念は一度手放したほうがいいですね。
ビジネスフォンを入れるなら、まずは「中古」で。
そうした検討の上で、ビジネスフォンを入れるのであれば、ビジネスフォンを安く納入してくれる業者さんに、光回線、電話回線、ビジネスフォンをまるっとお任せするのがよいです。
基本的にビジネスフォンの設置設定は、その知識をもった業者の技術者に頼まざるを得ません。
電話交換機(冷蔵庫状のもの)、各種機能基板、そして、内線端末および配線、といった要素で構成されます。パソコンやサーバーさながらのモジュール構造です。業者さんにしっかり見積もりしてもらいましょう。
ビジネスフォンは中古市場が非常に発達していますので、最初は中古で十分です。
リース落ち、リプレース廃棄となった古い黄ばんだものから、新品同様に綺麗にして収めてくれるところまで、いろいろあります。
NTT、NEC、SAXAあたりが在庫も導入実績も豊富なので無難でしょう。
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ビジネスフォンも、機種/メーカーで、機能や運用性が全然異なります。
最初でノウハウがない場合は、あれこれ考えてもしかたがないので、とりあえず入れて運用した上で、ノウハウがたまったところで「ほんとうに使いやすいもの」に乗り換えるアプローチもありです。
ポイントは
- 設定を交換器側で保持するか、端末側で保持するか(席替えのとき、端末をもって行って前の内線番号のまま使えるか否か、に関わってきます。)
- 発信・保留・転送・ピックアップの操作方法
- IP対応(内線がEthernet。電話用ケーブルではなくLANケーブルで配線*1できるので管理が楽です。)
これを、メーカー別にきちんと説明してくれる業者さんに会えると、かなり選びやすいと思います。
訪問して、現物操作しているところを見せてもらい、説明を受けるのが一番いいです。
なお、その手間を省くなら「誰か(できれば管理系の中途採用の従業員)が、どこか(前職までの環境)で一度使ったことがあるやつ」っていう方法があります。
使ったことがある機材であれば、導入は少しスムーズになりますし、導入後の現場フォローがし易いです。
なお、経験といっても、コールセンター用途ですと、また事情が変わってきます。
私の場合、もともとコールセンター用のAT&T/Lucent/Avayaの電話交換機の知識の方が先にあったため、その辺の頭の切り替えに結構苦労しました。
それでも、何かしらビジネスフォンに触れたことがあれば、業者さんとやりとりするときに、「あの機種でこんなことしてたんだけど、こっちの機種だとできる?どうやる?」みたいな会話ができるので、それだけでもだいぶ違います。
電話番号が050でも構わない場合
NTTコミュニケーションズさんの「050 plus」など、「スマホを子機化」のハードルがかなり下がってきますので、最初から導入する選択肢も見えてきます。
03番号を使いつつスマホ子機化を検討すると、対応システムを入れるのに結構なコストがかかります。
最近調べてないので、安くなっていたら教えて欲しいところです。
ただ、導入にはそれなりの知識も必要になるので、ITリテラシ平均が高めの組織でない限り、なかなか難しい世界だと思います。
クラウドPBX、あこがれる!
ビジネスフォンシステムは、電話交換機にログインして設定したり、あるいは内線電話機からコマンドを入力することで色々と設定をするのですが、IP電話の場合、この電話交換機の機能をクラウド側に置いているサービスが出てきています。
Webブラウザですべて完結、即反映が可能で、複数拠点ある場合も1つの内線のように管理できます。
変更のたびに業者を呼んでお金を払って、というのが不要になりますですので、管理は簡単(もちろん、それなりの知識は必要)です。
まだ私は未経験ですが、入れてみたいシステムです。
やっぱり、柔軟性が高くて、専門業者依存性が低いと、急な要望やちょっと複雑な要望にも対応しやすいので、頼む側も頼まれる側も余計なストレスを抱えないで済みますからね。
まとめ
*1:PoE給電必須