なからなLife

geekに憧れと敬意を抱きながら、SE、ITコンサル、商品企画、事業企画、管理会計、総務・情シス、再び受託でDB屋さんと流浪する人のブログです。

スケジュール遅延は取り戻せない!

極論ではあるけれど

ここまで断定的な悲観論は、あまり見かけないと思いますが、個人的には、かなり確信をもってこう考えています。


もちろん、「遅延をしっかりリカバリして当初の締め切りを守った!」という意見・経験ものはあると思います。


ただし、そうした事例も、細かく紐解いてみると、何かを省略した、次フェーズ送りにした、などということが数多あるでしょう。
それらは、純粋に遅延を取り戻したのではなく、何かと引き換えに遅延解消状態を得たケースです。


それ自体が悪いという話ではありませんし、むしろ推奨されるマネジメントアクションだと思います。


そういったタスクそのものをイジらない範疇の話として、当初予定されていたタスクを漏らさず対応して、遅延分を取り戻しきったケースって、かなり稀であろうと考えています。



遅延したとき、どんな行動をとるか

典型的なのは「隠蔽する」「休日で取り戻します」だと思います。


同様の選択肢として「残業で取り戻す」があるはずです。
しかし、残念ながら残業が常態化していることが大半ですので、埋め合わせの時間に計上できないことが暗黙の了解となっていて、現場で実際にこのセリフを聞く機会は少ないです。


最初から休日にタスクがスケジュールされているようなプロジェクトは論外。さっさと燃えて灰になれ。(誰に言っているんだ
徹夜でリカバリは、翌日以降、不在、居眠り、意識朦朧等で、他のメンバーに多大なる迷惑をかけ、新たな遅延を生むので、マジやめてください。(だから誰にry


リカバリプランとしては、こんどの週末1回で・・・、なのか、締め切りまで週末がn回あるので・・・、なのか、規模の大小こそあれ、大抵そんな感じです。


で、実際土日に出勤して、どうなりました?やっぱり間に合わなかった、って経験をしている人が多いのではないでしょうか。


休日出勤しても、間に合わなかった!はなぜ起こる

一分一秒無駄にせず、予定外のタスク割り込みも発生せずに、それでも間に合わなかったとしたら、リカバリプラン自体に無理があったわけです。
ですが、そういったケースは少ないかと思います。


割り込み、想定外の事象が発生しなければ、晴れてリカバリ成功の事例に加わることができるでしょう。


しかし、多くの場合、「想定外の***が発生して、土日に予定していた作業が完了しませんでした」という報告が上がってきます。


想定外、って、それ、元の遅延理由でも言ってませんでした?

もう一つのリカバリプラン「並列化」について

「こっちのタスクが遅延してしまったけど、あっちのタスクはXX日から着手しなきゃいけないので、平行でやります!」なんてリカバリプランをよく見かけます。


開発、単体テストが完了していないのに、結合テストが始まっちゃうアレとかです。


単体テストが完了していないのに結合試験やって、この試験は何を保証する試験なの?ってヤツですね。


開発が遅れている部分が絶対に影響しないシナリオだけを通すなら、理論上はOKなわけですが、多くの現場で、「一度通ったシナリオが後でNGになる」をやっちまうわけです。


挙句、「同じような失敗を起こさないための、管理・手順を取りまとめて、それを徹底しろ!」とか言われて、さらに現場の負荷があがったりして。


リカバリプランの大半は「雑」

遅延しているので、すでに気は焦り、リカバリプランの立案自体に工数をかけていられない、という事情が背景にあるでしょう。
遅延しているので、余裕を持った日程が承認されないことを恐れてタイトな計画を作ってしまう、ということもあるでしょう。


ともかく、色々な要因が相まって、日数追加しただけの、雑なリカバリプランが生み出されます。
純粋に追いついていない作業の予定工数を積み上げただけ、というプランであることが多いでしょう。


そして、プランの想定外のことが発生して、案の定、再び遅延する、と。

そんなリカバリプランで大丈夫か?

当初のプランを立てるとき、もっとじっくり検討してましたよね。それでも、想定外のことが起きて遅延したのですよね?
どうして、当初よりももっと雑にプランニングして、そのスケジュールが遅延しないと思えるの?



そうでなくとも、仕事のやりかたを変えないかぎり、当初プランに対する遅延リスクの発生確率と、追加時間における遅延リスクの発生確率は同じなんですよ。


そういったことを、もっと謙虚に捉えるべきでしょう。



リカバリのマネジメントって、当初計画ベースでのマネジメントよりも、もっと複雑な要素が絡んで難易度が高いよね。


並行実施のリカバリプランって、直列実施の当初プランのマネジメントよりも、明らかに複雑性が増えてるよね。


残業、徹夜、休日出勤で疲弊した身体で、その先の日程を、健康体前提で立てた当初計画通りのパフォーマンスが出せるの?


より簡単な方で現に遅延を引き起こしたやりかたのままで、どうしてより難易度の高いミッションをクリアできると思えるの?



正解はないのかもしれないけど

冒頭で宣言している通り、「タスク内容そのままでの遅延リカバリは無理」と思っているので、やはり「何かを省略」「次フェーズ送り」などと組み合わせて、エンドの日程を死守するか、日程自体を伸ばすか、は必須だと考えています。


また、遅延の焦りから、作業に集中するという名目で、情報共有の会議を端折るなど、管理系タスクをおろそかにしがちですが、むしろ管理すべき対象が複雑化しているので、管理系タスクこそ大事にすべきと思います。


闇雲に人を増やしても悪化するのは人月の神話で語られている通りですから、もし人を投入するなら、「管理系タスク」をやる人でしょう。


「管理職」という意味ではありません。もっと酷いことになるでしょう。


ここで言っているのは、複雑化した問題を整理する人や、担当者に振りかかる管理系タスクを巻き取って集中しやすい環境・時間を作る人。足すならそういう人です。


特に前者は重要です。何か問題・課題を抱えたことで遅延につながっている場合、「その課題抜きの従来のリソース計画」+「その課題に対応するためのリソース」が必要です。
そこを強化せずにリカバリなんてできるのかと。


そういう役割をする人のイメージとしては、PMOとかファシリテーターです。


PMOといっても、事務局的なアレじゃない、拾い上げた課題に積極的に介入していくPMO。


ファシリテーターといっても、会議にとどまらず、プロジェクトの情報を交通整理し、目的達成のために必要なアクションを具体化し、その進行を促すためのノウハウを持っているファシリテーター


そんな人を速やかに投入できるくらいなら、最初から投入してるし、遅延なんか元から発生しねーよ、って?


あと必要なのは、「勇気と責任のある意思決定者」ですよね。
どんなにうまく課題を整理し、解決策を起案しても、責任ある人が決断を出さなかったら、何も前に進まなくなってしまうから。(そういった人を引きずり出してくるのも、優れたPMOやファシリテーターに見られる特性だったりする)


炎上沈下の上手い人は、どんなことを意識しているのだろうか?

教えてエロイ人


注)紹介する本や著者と、えろいえろくないについては一切関係ありません。

ザ・ファシリテーター

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実務で役立つ プロジェクトファシリテーション (PM magazine)

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