なからなLife

geekに憧れと敬意を抱きながら、SE、ITコンサル、商品企画、事業企画、管理会計、総務・情シス、再び受託でDB屋さんと流浪する人のブログです。

「業務を効率化しろ!」の非効率さについて

(サビ残前提の人には関係ない話です)


経営の上では、とにかくコストは抑えていきたいものであり、最も目につくのが人件費の中でも、残業代、休日出勤といった割増コスト。


そして、言うは易しで、大号令を下してしまう。「業務をもっと効率化しろ!目標、残業代n%削減!」


で、大号令が降りてきた中間管理職は、管理できないので数字だけ取り繕うとしてサビ残させたり、逆に部下の業務についてマイクロマネジメントでタスク1つ1つまでガチガチに管理表作ってがんじがらめにして一切の裁量を奪ったり。


一方部下は部下で、行き過ぎたサビ残には告発という抵抗を試みるし*1、マイクロマネジメントに対して、いずれ管理しきれなくなるのを見越して忙しい振りを装って各種管理資料にバッファ積みまくったり。


結局、大した効果を上げない。


はっきりいって、従業員が積極的に取り組むお題じゃないんですよ。


だって、残業代削減って、従業員自身にとっては、自分の収入減でしかないから。


「残業代こんなにいらないから早く帰りたい」っていう、毎日ひーひー言いながら残業している人もいるけど、実際に残業なくなったら「忙しくてカネ使う暇ないし」と思いながらついついお金を出してしまっていた生活コストが思いの外重たかった、ってケースもありまくり。


「同じ仕事を、今より効率的にこなせる人になって、自分の収入が減る。」


誰が望むんですか?そんなもの。



BPR(業務改革)とかBPO(業務アウトソーシング)のプロジェクトも似たようなもの。


「プロジェクトの成功の暁には、自分の仕事がなくなる。」


これを受け入れられる人がいないと、なかなか成功しない。
別のポジションが用意されている人か、このプロジェクトを成功事例として自分を他社に売り込もうとしている野心家か、無闇に意識の高い人でもないと。


だから、「達成したその後」までデザインし、それが協力してもらう人たちにとってメリットのあるものとして提示できないとね。


私がBPRに関わるときは、
「人件費の削減のための業務効率化」という言葉じゃなくて「今のメンバーでn倍の仕事ができるようになるための業務効率化」
って言い換えるようにしてる。


「業務方のケイパビリティは上げてやる、だから、売上取ってこい。」


で、実際に売上が上がる=業務量増える=効率化済の体制なら増員なしで対応できる=利益率があがる。
だから、ちょっとは給料上げろと。


そんな筋書き通りに行かないこともあるけど、それくらい前向きな理由付けがほしい。

*1:昔よりハードルはだいぶ下がってる