生産性の議論が盛り上がってるけどさ
生産性って2つの視点があるよね。
(A)100の仕事に対して、100の時間がかかるところを、50の時間で終わらせる。
(B)100の時間に対して、100の仕事を終わらせるところを、200の仕事終わらせる。
どっちも「生産性は2倍」なんだけど、殆どの場合(A)の話ばかりしてる。わざとだろ、ってくらいに。
(A)の話に限定されたまま議論すると、以下のような話になる。
・残業代を削減。経営者「利益増えて嬉しい」労働者「手取り減って悲しい」。
・残業時間を削減。経営者「さぼってるの?やる気ないの?」労働者「早く帰れて嬉しい」
これ、どっちをとってもWin-Loseの関係なので、労使間でいたずらに対立が続くだけ。
でもさ、ホントは(B)の話しなきゃいけないんじゃないの?
で、次の段階。
部下の仕事ぶりをある程度見ている管理職ならば、「あのスタッフは仕事がデキる/余裕がある」となると、その人に次々と仕事を振る。
組織としての処理能力が高まるので、管理職としては当然の采配。
これで、(B)の状態に持ってきました。
問題は、終わらせた仕事の成果量*1に応じた報酬がある?ってこと。
こうした制度になってない環境で働いている人が多すぎる。自分も含め。だからこういう議論がいつまでたってもなくならない。
成果報酬が定着している会社・職種の人には当たり前のことだし、営業職なんかは、効率上げて確保した時間で更に受注伸ばすための活動して、売上に結び付けてるわけなんだよね。
営業のように単純な成果連動報酬になじまない仕事、って問題はあると思う。
ただ、そこは厳密に成果に比例した報酬制度が作れるかどうかの問題じゃない。
やったことが報われるかどうか、って方がウエイトが大きい問題なの。
やったことが報われる見込みがあるか=ある程度、基準が見えている、ってことも大事。
「基準は見えてないけど、経験則的に、頑張ったときは報酬に反映されていたなー。」ってのでも、次も頑張れば「たぶん」報われるだろう、ってことで動くだろうけど。
ルーチンワーク主体の事務系職種で、現時点で残業してやっと消化できてる仕事が、次の人事考課のタイミングまでに残業時間半分で回せるようになっていたら〜、残業なしで回せるようになっていたら〜、さらに新しい仕事も残業なしで処理できるようになったら〜、って感じで、昇給や賞与増額で浮いたコストの一部を還元すればいいわけですよ。
同じ仕事を同じ時間かけてやってたら報酬は同じとして、「何か工夫すれば報酬もあがるよ」っていうインセンティブなしに、誰が積極的に動くのかと。
経営者目線()では、会社の成長こそ大事、って発想もあるだろうけど、報酬に還元されず仕事が増えるだけの会社の成長なんて、誰が共感するのかって。
「残業代を減らす」って視点でスタートすると、こういう方向に考えが向かいにくい。
残業代が減り、コストが減って利益が増えて経営者が喜んでいる間に、スタッフには徒労感が蓄積され、ほどほどにやり過ごすようになり、ノウハウがたまった頃に会社を辞めて、もっと良い条件の会社に移ってしまう。
結果、削減された残業代以上のコストをかけて、次の人を育てたり、外から探してきたりして、また同じ仕打ちを繰り返して、なんてことにもなりかねない。
人事考課制度に「目標管理制度(MBO:Management by objectives。ドラッカーが提唱したって言われてるヤツね)」を導入しているところ、多いでしょ。
年とか半期で個人目標書いて上司とすりあわせて、期の終わりに評価するヤツ。
アレに組み込めばいいだけのはずなんだけど、まったく連動してないケースが多いんですよね。
なんのためにやってんのよ、って、評価する方もされる方もちゃんと答えられない儀式。
そのへん、人事に突っ込んでも「育成が目的で、報酬査定が目的ではない(キリッ」なんていう残念なケースもあったりして。。。
まあ、10年後に同じエントリ投下しても、通じるんじゃないかと思いますけどねー。
*1:便宜的に「量」と書くけど、正確には「仕事の価値(コンサルが好きなOutputとValueってやつ)」ね。