っていうけれど、自分を変える、自分の考え方を変えるって、他人を変えるのと同じくらいにすごく難しいことだと思う。
逆説的なアプローチになるけど、そんなに簡単に自分を変えられるなら、自己啓発の本やセミナーは、ここまで隆盛していないんじゃないか。
こうまで絶えず自己啓発ビジネスのニーズがあるということは、それが難しくて、それをどうにかしたいと思い悩む人が多いからではないか。
そして、それらを通じて変わることができた事例も多いのは、それらの著者が読者を、講師が受講者を、という、他人を変えたことの証左ではないのか。
「服従の真理」なんかにもある通り、自分を変えようとしていないにもかかわらず、外的要因に影響され、価値判断が変わるという実証実験もかなりある。
自分を変える、って、そんな軽々しい話じゃない。
酷いのは、このセリフ「他人を変えるのは難しい、自分を変えるのは簡単」という言葉に続けて「だからお前自身が変われ」っていう言葉が明に暗に示されるケース。
「他人を変えるのは難しい」って言ったその口で、「お前=他人」を変えよう、っていう、なんという光速ブーメラン。
「お前」の側に立って寄り添った立場のつもりで言ってるから、まずこの矛盾に自覚できない。
そしてそんなモヤモヤを抱えた人が、自分を変える方法を求めて、今日もさまよい、自己啓発に精を出していたりする。
まあ、難しいこと考えずに、色々なものに触れて、何かをきっかけに感化されたら、結果として変わっている、という程度のものだと思うよ。
そのきっかけを掴むまで、大いに悩めばいいじゃん。
それ以上のものだったら、むしろ洗脳されたか、って疑ってしまうのは卑屈すぎるかな。
- 作者: スタンレーミルグラム,山形浩生
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