パラダイス鎖国
ポイント3点
- 定義・解説がなくても言わんとしている事が伝わってくるタイトルが秀逸。
- すでに「パラダイス」じゃなくなってきている、じゃあ、開国しよう。といったときの「開国」ってなんだ、となると、やっぱりシリコンバレーの話になってしまう。
- 「厳しいぬるま湯」の例えがわかりやすい。
いまさらながら読みましたが、聞いていた通りの良書でした。
著者自身が「狙って」コピーを書いているだけあって、いかにわかりやすく、キャッチーに伝えるかということにも
非常に努力されているのが伝わってくる。
タイトル以外で心に響いたのは「厳しいぬるま湯」でした。
評価は厳しいが、何度でもチャレンジできる、というシリコンバレーのカルチャーを端的にあらわしたこの言葉。
日本にはまだまだそういう文化は根付いていないなと、つくづく感じる。
# そういえば、某元首相が叫んでいた「再チャレンジ」とはまさにこのことだな。
あえて日本にコピーをつけなかったのは、読者に考えさせるためだろうか。
キャッチーなコピーは思いつかないが、「ゆでがえる」の例えに出てくる「水」こそが、日本を象徴するものではないかと思う。
著者が示した「パラダイス鎖国」に向かう日本企業の経営判断ロジック
「携帯電話市場は日本の方が大きいから、日本市場での勝負の為に投資する」は、
コンサルタントが100人いたら100人答えそうなロジックだ。
グーグルが本当に怖い理由 〔補完財の戦略的価値)|カフェメトロポリス
でも取り上げられていたミシュランの話、
「ミシュランの売上増 -> ゴム需要増 -> タイヤゴム消費拡大 -> 「ドライブ目的地としてのレストラン」ガイド」
という発想が普通のコンサルでは出てこないのと同様、
コンサル的論理的思考からはイノベーションは生まれないのだろうか。
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パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)