お客とサポセンのやり取りに見る、コミュニケーションの破たんの3つの傾向と処方箋
これまでのお仕事の経歴上、お客さんのコールセンターのシステムを作ったり、コールセンターも含めた顧客サービスの企画運営に携わったりしてきた関係で、お客さんといわゆるオペレーターさんとのやり取りの内容を覗き込む機会が多いのです。特に、メールでのやり取りは非常に興味深いです。
ときどき、お客さんとオペレーターさんとの間の会話が、あまりにも「成り立っていない」状態のものを見かけます。
今回は、統計を取ったわけではない(そんな数字出せるわけがない)ですが、感覚的なところで、「会話が成り立たない原因」3つを取り上げます。この3つは、コールセンターというシチュエーションに限らず、人と人との日常的なコミュニケーションにおいてもありがちな話に結びつくと思います。
1.お客さんが、要件をうまく伝えられない。結果、オペレーターの回答がミスリードになる。
お客さんに知識がないのか、知識はあるがうまく組み立てられないのか、何を言っているか全くわからない文章で質問のメールを送ってくる方がいます。要件らしきものが1割、あと蛇足。論理構造もなにもあったものじゃないです。
そして、その1割をうまく拾えないと、答える方も、お客さんが望んでいる方向の答えと全然ちがったものを返してしまうことがあります。
2.オペレーターが、お客さんの要件を正しく把握できていない。よって、質問にまっすぐ答えていない。
「お客さん、そんなこと望んでないよ」というのがあからさまな応対を見かけます。
勝手な思い込みによって目の前にある事実(文章)を正確に理解することを妨げ、思い込みに基づく回答がなされたり。
3.お客さんが知識不足/勘違いしていて、問い合わせるべき相手、怒るべき相手を間違えている。オペレーターは、当事者意識が下がり、感情のこもらない冷淡な返答をしてしまう。
問題を切り分けないで、とにかく問い合わせてくるお客さんは結構な数で存在します。
対応する側としては「めんどくさい」「こっちの問題じゃない」という反応を示してしまうわけですが。
でも、お客さんから「何も考えないで行動をとった時、真っ先に連絡してくる相手」として選ばれている、ということを、もっと重く受け止めた方がよいと思います。
それは、よほど信頼されている「ここに聞けばなんとかなるのでは」か、よほど信頼されていない「またアイツらが何かやらかしたのだろう」のどちらかである可能性が高いです。と同時に、信頼を高め、勝ち取る好機でもあるわけです。
処方箋
お客さん側(話す側)
- 知識をもっと蓄える。
- 文章能力を高める。
- 事実と感情を分けて整理することを心掛ける。
オペレータ側(受ける側)
- 要約力を高める。
- 論理的思考力を高める。
というのは、あまりにもベタなんですが、もっと簡単なのは、
メール/文章じゃなくて口頭で。
ってことです。
ごめんなさい。こっちもあまりにもベタな解答で。
会話すれば、声から嗅ぎとれるニュアンスによって、聞いている側も要件の核心をつかみやすくなることがあります。
その双方向性によって、聞き取る側は段階的に本質に迫るなどのヒアリングテクニックを行使できますし、話している側も、言葉の往来をしている間に脳内が整理されてくることは多々あります。
結果的に、お互いに効率的で、期待される結論に近い結果を得られるのです。
でも、どういうわけか、メールでやりたがる人が多いんですよね。
問い合わせ対相手の都合にどうしても合わせられないからのでしょうか。
相手の言質とるために、どうしても記録に残る手段を取りたいのでしょうか。
対話になると、自分の要望を言えないまま、丸めこまれてしまうんじゃないか、という警戒感があるのでしょうか。
相手の事情を考慮せず、自分の言いたいことを一方的に書きなぐってスッキリ吐き出せるツールとして優れているからなんでしょうか。
自分も話ベタな方だし自重しちゃうタイプだとは思いますが、愕然とするくらいひどいコミュニケーションが記録として残っている様をみると、なんだかほっと残念な気持ちになります。