なからなLife

geekに憧れと敬意を抱きながら、SE、ITコンサル、商品企画、事業企画、管理会計、総務・情シス、再び受託でDB屋さんと流浪する人のブログです。

統計学以前にできること、やるべきこと


統計学が最強の学問である」が盛り上がっている。
多分、そのうち読むことになるけど、これを書いている時点ではまだ読んでない。
一応幾つかの統計学本は読んでるし、多分、読みやすさはともあれ本質は似たような話になるんじゃないかと思っていたりする。


で、統計ネタって、英語、会計、法律ネタ程ではないけど、定期的に盛り上がってる印象があるけど、統計学本に出てくるような分析手法使う以前にできて、しかも、どの会社でもある程度やっているような分析って、あんまりテーマに上がらないよね。


かくいう自分も、なりゆきで数字追いかける部門に異動になったとき、あまりにもこの手のノウハウが明文化されてなくてかなり困った。
とにかく他の人の真似して資料作っては、アレが足りない、コレがたりないとフィードバックを受け、そうした経験を積み上げて、ようやくここまで(どこまで?)来た感じ。
偏差とか重回帰分析とか、なんとか推定の公式とか、ナントカ検定とかの知識を使わなくても、手元にあるデータから読み出せる情報はたくさんあり、それについて自分のスキルはまだまだだという実感がある。


ちょいとここらへんで、分析の初歩の初歩について、自分のためにも整理しておきたい。

なんのために分析するのか

分析にかぎらず、目的をはっきりさせることは大事。

  • なぜそうなったのか。(過去の評価)
  • これからどうなりそうか。(未来の予測)

大きくこの2つであり、その両方であることが多い。
そして、

  • 何について知りたいのか(ターゲット)

は、定例報告としての分析であっても、めまぐるしく変わる経営環境にさらされている経営陣にとっては、そのタイミングごとに興味関心の対象、順位が変わっていることが往々にしてあるので、そこもきっちり押さえておきたい。
 

事実を押さえること

目的が明確になったら、その目的を果たすために必要な情報を揃える。
 

  • 結果としての業績数字(売上、費用、利益)
  • 業績に影響を及ぼす諸条件(販売数、契約条件、のような数値化可能なパラメータ)
  • その諸条件になった理由(定量情報だけでなく、定性情報も)

未来予測であれば、販売計画や在庫状況、契約条件の変更予定なども必要だよね。

比較すること

いろいろな軸で比較する。

  • 商材別の実績比較
  • 計画と実績の比較
  • 当初計画と見込みの比較
  • 単月の比較
  • 複数月累計の比較
  • 傾向の比較
  • 構成比の比較

 

とにかく、比較して比較して比較しまくる。
必要なのは、単位を揃えることと、そろえた単位同士での差異を見ること。



偏差、分散を見たり、重回帰分析を使ったりしても良いけど、「そこではじき出された結果がxxだから、○○なのだ」というところが大事であり、必須ではない。
平均、移動平均くらいは使ってるかもな。それでも小学生でならう範囲の計算だよな。

疑問をもつこと。問題をあぶり出して、深堀りすること。

比較までの資料を人に見せると、「なぜこの数字になるの」って必ず突っ込まれる。


突っ込まれるポイントについて先回りして説明ができるようにするには、出てきた数字に疑問を持ち、その疑問の元になった条件をさらに深掘っていくことが必要になる。


疑問を持つこと、課題を発見することは、課題を解決することよりも難しい。「問題は、発見した時点で8割は解決している」とは良く言ったもの。


ここのスキルを高める方法は簡単ではないし、簡単であれば私はもう仕事の悩みから解き放たれているはず。


というわけで、深堀りする対象を特定する方法としては、2つの方法を中心に対応している。

A.仮説を立てる

  これもビジネス書でヒットするネタ。はっきり言って「役に立つレベルの「仮説」を立てるには、それ相応の情報力や論理構成力が必要になるので、やはり一筋縄ではいかない。

B.システマチックにあぶり出す

仮説構築力が弱い場合に頼りたい小手先のテクニック。
・対比してn円以上、n%以上の差異が出ていたら
・構成比順位上位n位以内、n%以内は常に
・構成比順位が入れ替わったら
・契約条件が変わったら
などがある。まだまだネタ蓄積中。


説明すること

ここまでで、材料はほぼ出揃うわけだが、その材料として集めた資料、作った資料をそのまま提供しても、受け取った相手は読み込む時間をとられる。
なので、これを簡潔な説明に置き換えていくことで、分析資料としての価値を高める。
もちろん、細部まで追いかけたいタイプの人もいるので、サマリと詳細という形でセットにしておくとよい。


ここで、もう一度「目的」に立ち返り、相手が欲している最も重要な情報は何なのかに立ち戻ること。
相手が求めているメインの目的の他に、著しい変化、傾向を伝え、タイムリーな判断を支援する情報を提供すること。


ここは「プレゼン力(資料作成、口頭説明ともに)」の世界でもある。

 

さらなるツッコミに備える

100%の完璧な分析資料はそう簡単には作れない。
なので、必ず「これってどういうこと」というツッコミが来ることになる。
説明資料に書いていない部分の詳細までまるまる記憶できているのであれば苦労はないが、その次元に達するのは至難の業。


対面報告であれば、その場に詳細資料を持ち込むと共に、その詳細資料自体の見やすさが結構重要になってくる。
対面でも宿題対応にするときや、メール等での往来となる場合など、いずれにせよ、それまで作った資料における「追いかけやすさ=トレーサビリティ」が重要になってくる。


なので、
「比較すること」「疑問をもつこと。問題をあぶり出して、深堀りすること。」「説明すること」で作る資料は、「どこからどう持ってきてこの数字になったのか」を追いかけやすい構成にしておく必要がある。
手元で電卓で叩いた結果だけを書き連ねていくと、あとでさっぱりわからなくなる。
手分けして作業していたりするとハマリやすいポイントでもある。



こんな感じだろうか。


合計、平均、差分だけでできることはたくさんある。


統計学本でよく出てくるテクニックは、このへんを押さえてから、さらにパワーアップするためのネタ、という感じで押さえておくのでよいのではないか。
ビッグデータ()でほにゃらら、といったところで、このへん押さえてなければ、その大量のデータから価値あるものは見いだせないから。

追記1

書いた日のうちにAmazonでポチった。今のレビュー発表祭りの流れには間に合わないと思うけど。

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

追記2

「なぜなぜ分析」=「トヨタ」=「製造業」ってイメージ強いけど、「疑問をもつこと。問題をあぶり出して、深堀りすること。」「説明すること」あたりで役に立つと思う。
文庫だけどかなり良かったので紹介。

問題解決力がみるみる身につく 実践 なぜなぜ分析 (日経ビジネス人文庫)

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