「不格好経営」は、受託から事業会社に移ることを考えている人に読んでほしい一冊だった
2013年6月発刊から1年半以上、スルーしていた
どうも、DeNAというかソシャゲ業界の会社自体にあんまりいいイメージもってなくて(ド偏見)、さらに著者はマッキンゼーで大前研一さんとガチでやってた人で、さらにDeNAを立ち上げてあそこまで大きくした人なんて、「雲の上」もいいところなので、ドタバタ苦労したなんて話も、そもそもレベルの違う世界なんだろうなーと思っていたわけですよ。
そして、本書の内容も大半はその印象どおりなわけなんですけど。
前半は、共感はしないが、とてもエンターテイメント性の高い、武勇伝。
著者はじめ、集まってくる初期メンバーも知的エリート集団じゃないですか。
そんな人達が、さらに寝る間も惜しんで働いてたら、こちとら凡人はどうやっても敵わないというか、苦労話が共感のレベルにならないんですよ。
ただただ、読み物として、とても面白い、ノンフィクションのドタバタ劇。
「たられば」だけど、もし子供がいたら、どんな人生を送っていたんだろうなーって、思うところはあります。完全に余計なお世話なんだけど。
子供がいないこと自体は悲観せず、むしろそれによって自分が使うことのできる時間や労力をすべて仕事に振り向けて走り続けてきたんだなーって。それはそれですごくて、そして尊敬するところでもあるんだけど、生き方そのものは自分には参考にもならなければ共感するポイントももあんまりないわけです。
後半は、「受託脳の人が、事業会社で働く上で必要なこと」だらけ
コンサル業界のトップが事業会社を経営するのも、SIerや二次請け孫請けソフトハウスの末端社員が事業会社で末端として働くのも、違った意識を求められる。その意味では、似ているところが多いなーと、末端to末端を生きてきた私から見ても思うわけです。
提案じゃなくて、決断。
知識より、経験や行動。
完全な情報、完璧な分析、破綻のない論理展開より、早さと情熱が勝る。
そんなケースはとても多い。
自ら経営したり、小さな事業会社のスタッフになれば、会社のお金に対する感覚の必要性もまったく異なってくる。
そんなわけで、スルーしておくのはもったいない一冊でした。
余談:なんで手にとったか?
そこまでスルーしていた本を、なぜこのタイミングで手にとったのかといえば、「図書館にあった。タダならいっか。有名な本だし、他に急いで読む本もなかったから。」という程度のきっかけ、っていう。
たまたま、娘たちが図書館通いブームで、週末に付き合わされたついでに自分も何か借りようかと思って眺めていたらあった、という経緯です。
良い本との出会いは偶然。どこでどんな出会いがあるかわからないなぁ。
以上、この頃わが家の予算統制が厳しくなって苦しいお父さんの小さな喜びでした。
- 作者: 南場智子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2013/06/11
- メディア: 単行本
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