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なからなLife

geekに憧れと敬意を抱きながら、SE、ITコンサル、商品企画、事業企画、管理会計、総務・情シス、再び受託でDB屋さんと流浪する人のブログです。

ECRS再考:業務改善について


失われた10年が20年になり、さらに最近では復興増税、東電救済資金確保増税、B型肝炎訴訟の賠償金確保増税、社会保障・年金資金確保増税といった増税案オンパレードに円高への無策が続いて景気浮揚が遠のきそうななか、仕事現場では、コスト削減に迫られて、業務の外部移管ならばまだいいほうで、人員削減して全体業務量そのまま、慢性的な残業が続いてます、なんてケースがざらにあるかと思います。


などという、このブログではめったに扱わない時事ネタ絡みのカチカチに堅い書き出しから入ってしまいましたが、つまるところは「体壊すほどの残業はもうイヤやー」ということで、業務改善というキーワードで思いつく「ECRS」*1について、再考したいと思います。

ECRSおさらいと今回の目的

E Eliminate やめる、捨てる、除く
C Combine 統合する、結合する
R Rearrange/Replace 並べ直す/置き換える
S Simplify 簡単にする、単純にする

上から順に、改善効果が高いとされています。


そして、コンサルが業務改善案件に入る場合、かならずといっていいほど上の方から狙っていきます。


それをそのまま真似して、現場レベルのカイゼンで実現できるっけ?
というのが、今回の再考の目的。


上の一覧を表にして、隣に難易度(High・Medium・Low)を置いてみましょう。

E Eliminate やめる、捨てる、除く H++
C Combine 統合する、結合する H
R Rearrange/Replace 並べ直す/置き換える M
S Simplify 簡単にする、単純にする L


こんな感じです。


これはおおよそ、関係者の数や範囲に比例します。


以下、個別に見ていきます。

Eliminate(やめる、捨てる、除く):H++

何か作業をやめるとなると、そのOutputを使って何かする人に必ず影響が出ます。
しかも他部署/他社であることが多いです。


そうでないなら、多分その作業は「はじめからいらなかった」ものなので、やめて良いですね。


この場合、
・そのOutputを必要としている相手に作業を移管する(差し引きゼロで、全体最適にはならない。)
 せめて、作業を簡単に(C・R・S)した状態で相手に渡しましょう。


・別のもので代用できないか確認する。
 他の資料が実質的に同じだったり、他の作業の中間成果物が、その目的を果たすのに十分な情報を持っていたり、というケースはよくあるもので。


といったアクションになると思います。


いずれにせよ、交渉が発生しますし、相手の作業にモロに影響するので、実現すれば効果テキメンですが、そこまでのハードルが高いです。


Combine(統合する、結合する):H

一緒にできることは一緒にやっちゃえ、って事です。


同じ部署ならそんなにハードルは高くないですが、それでも、作業手順までお互いに理解してないと、なかなかできないですね。
部署外が絡むなら尚更。


別々の集計表をつくるのに、同じデータソースから処理するのに、担当者が別々にデータを取りに行って、手元の別々のExcel/Accessで処理している、とか、よくあるケースです。
しかも、取得タイミングが微妙に違って、合計件数が合ってないとか上にツッコまれて大騒ぎなど。


5W1Hを意識して作業手順を明文化して共有することで、このレベルのカイゼンの実現可能性はかなり上がると思います。
「え、アンタ、このタイミングで、こんなやり方してこの作業やってんの?」
って出てくると思いますが、ここで「ダメ出し」トーンでやってしまうと、一気に改善機運が落ち込むので気をつけたいところです。

それまでの比効率なやり方に耐えて作業してくれていた担当者に敬意を表しつつ、「お互いがラクになる為の宝探し」だと思って取り組んでください。


Rearrange/Replace(並べ直す/置き換える):M

最近まで、これがピンと来てなくて、うまい例えが見つからなかったのですが、こんなんでいかがでしょう?


「足してから掛けるのと、掛けてから足すの、どっちがラク?」
RDBMSSQL処理コスト的に言うならば、
「絞り込んでからJOINするのと、JOINしてから絞り込むの、どっちがコスト低い?」


事務職的な作業の場合、この辺はもう、自分の作業の中の手順の世界で完結することが多いです。
マイクロマネジメントな上司の下でも、口出ししてくるのはせいぜいココのレベルまでです。


製造業だと、大きなパーツと小さなパーツ、どっちを先に取り付けたほうが効率的か、なんて話になるので、レーンの組み換え、担当者や機械の配置に絡んだりしますので、実は結構大変なはず。

Simplify(簡単にする、単純にする):L

もうちょっといいキーワードなかったのかな、なんて思ってしまう。
EもCもRも、Simplifyの手段の1つだよな、などと思ってしまうから。


という戯言は置いておいて、作業の手順すらそのままに、ただ効率化、というか高速化するって意味で捉えましょう。


たいてい、システムによる自動化が思いつきます。
実行ボタン「ポチ」で終了なのが、一番単純で間違いようがないですから。


でも、なかなかシステム対応してもらえないんですよね。
エンタープライズシステム()*2案件の中で、UIに近い部分が最も軽視されがち。


現場が一番使いやすさ、業務負荷軽減具合を体感できる部分なんだけど、あくまでお金出してくれる「上の方の人」の顔色見ながらつくるから、そちらよりの機能追加や、コストや納期の圧縮が優先されてしまう。



でも、この領域は、作業担当者個人の世界なので、1つ1つの効果は小さくても、努力がそのまま結果に直結するはずです。
その手段といえば、Excel関数やAccessクエリが解決してくれることが多いです。
いわゆるEUC(End User Computing)ってヤツ。
手元で10分かけて集計してた作業が1分で終わるとか、小さな感激の積み上げが、また新しい工夫の為の努力を生み出すモチベーションの源泉にもなります。



「野良Excelが改革を阻む」なんてdisり記事も見かけますが、「だったら必要なモノを血統書付き*3を作るか、野良Excel/Access捨てて非効率な手作業するから残業代満額出せやボケ」と言い返せばいいです。



そこまで強気に言えない人は、作業効率化の為の野良Excel/Accessの存在自体を隠蔽しておけば良いです、ってのは半分冗談。


半分だけ冗談なのは、実際に正式にシステム化することになったらなったで「そのファイルもらえますかー?」とか言ってきて、渡したら渡したで「仕様書がないしわかんない」なんて文句言われるのがオチなので。


最後に

効果と難易度、両方みないと大変なことになるので、思いついたカイゼン方法をこの2軸でスコアリング/レーティングしてみると良いと思います。


もちろん、とりあえず出来るところからヤルってのもありですよ。チリツモですから。


但し、「マクロ視点で見て、ボトルネックと関係ないところは、最終完了時間の前倒し(=総業務時間=人員拘束時間=人件費・残業代の削減)には繋がらない」ってことは忘れずに。TOC (Theory of Constraints:制約理論または制約条件の理論)重要。「ザ・ゴール」読んでない人は是非。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か


ECRSしっかり説明した解説本って意外と思いつかないのな。

*1:トヨタの「カイゼン」に比べたら認知度が圧倒的に低い。。。

*2:いわゆる社内業務用システムで、内部の人しか使わない、社外一般には提供されないシステムのことをさして言っています。

*3:野良の対義?語として。正規に認可されて作られたシステムの機能として作り込むこと