短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント
ポイント3点
- 行動の変化を促す仕掛けについて「科学的」に論じられている。
- 人が動く(望む行動を取る、望まない行動をやめる)理由にフォーカスされている。
- 「禁煙できないのは、意思が弱いからではない」の行動科学からの分析例が印象的。
人が何かの行動に対して評価を受けるとき、その「フィードバック」次第で、
その人の今後の行動は大きく違う。
しかし、フィードバックする側が、改善されない様子を見ていると
「意思が弱いからだ」と片付けてしまうことは往々荷してあるのではないでしょうか。
この本では、「PST分析」なるものを提唱し、フィードバックのやり方で、
その相手が、行動を増やす/減らす(止める)ことに対してどれだけ効果があるか、
ということを述べています。
ちなみに、オリジナルは「PIC/NIC分析」というものらしい。
- P:Positive(積極的)
- N:Negative(消極的。負のイメージがあるが、単純に「否定的」の意味)
- S:すぐに(フィードバックする)
- A:後で(フィードバックする)
- T:確かな(フィードバックをする)
- F:不確かな(フィードバックをする)
の、PSTだそうです。
例として、
- PST、つまり、「ポジティブで、即座に、確かな内容で」フィードバックがあると、相手はその行動を「増やす」動機付け効果が高いため、長所を伸ばすための指導に効果を発揮する。
- NAF、つまり「否定的で、時間がたってから、不確かで曖昧な」フィードバックがあると、相手はこちらがやめてほしいと思って忠告した行動を「減らす(改善する)」動機付け効果はきわめて薄い。という理論です。
つまるところ、A、Fは、何にしても効果が薄い。
例として「禁煙」について、とりあげているが、これがわかりやすい。
禁煙から得られるメリットはPA(望ましいしが、だいぶ先の話)なものが多い。
- がんや肺気腫リスクが減る
- 食事がおいしくなる
禁煙によって起こるデメリットはNS(害はすぐに訪れる)なものが多い。
- イライラする
- タバコがほしくなる
喫煙によって起こるデメリットはNA(害はいずれ訪れる)
- がんや肺気腫で長生きできない
- ヤニで歯が黄色くなる
うーん、なるほど。
フィードバックと行動分析、うまく使いこなしたい。
ただ、本の中で多用される「リインフォース」という言葉が鼻に付く。
理論のオリジナルに忠実に表現しただけなのだろうが、他に何かよい言葉は無かったのだろうか。
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